何が出てくるか、お楽しみ

いぶさな牛ビーフジャーキー(森木畜産)

いぶさな牛ビーフジャーキー(森木畜産)

Q.日本の原種の牛がひっそりと残っていた理由は何でしょう?
Q.年間10頭程度しか出荷されないブランド牛がスーパーだと安く売られる理由とは?

「いぶさなビーフ(竹の谷蔓牛のジャーキー)」
希少なブランド牛の物語です。
2010年4月、宮崎県で畜産業を営む森木清美さんは、和牛全頭を口蹄疫(こうていえき)のため殺処分し、育てる牛が一頭もいなくなりました。
そんなとき、ある人から岡山県の限界集落、神郷釜村で200年間守られてきた和牛種(外来種と交配されていない日本の原種)がいると聞きました。それが赤身の多い「竹の谷蔓牛(たけのたにつるうし)」でした。

「竹の谷蔓牛」は1830年頃から地域の優良な牛同士を掛け合わせ、理想の体型に作り上げられた地域に根差した農耕用牛でした。山間の急こう配が続くこの村は決して住みやすいとは言えない土地です。何もかも人の手で行っていた時代に、牛は山に田畑に、人と一緒に厳しい環境を生き抜いてきました。
その雄の体は大きく力強い肩と小回りの利く小さくしまったモモを持ちます。雌は小柄ながらも安産繁殖能力も高く、乳がよく出ます。穏やかで飼いやすい性格です。
やがて明治期から肉量やサシ(脂)重視の改良交配が増えてきました。「サシが多いほど高い」という現代の価値観はこのころから始まります。

前述のように「竹の谷蔓牛」が住む土地は山間部で、他の地域との交流が難しかったこともあり、日本古来からの原種のままひっそりと残ってきたのです。
その数、10頭ほど(2010年頃)!1990年前後からサシ重視の肉づくりが加速した肉業界では、サシが入らず肉の格付け評価の低いこの牛は敬遠されるようになりました。そのため地元の畜産農家たちはどんどんこの牛を手放していきました。しかし、平田さんを始めとする数名の方の懸命な努力により、この牛は絶えることなく守られていました。そんなとき森木さんはこの牛に出会い、「この牛を自分の手で復興させる」と心に決めました。
こうして、口蹄疫後、空となっていた宮崎の牛舎に「竹の谷蔓牛」の母牛と子牛がやってきました。

今回お届けしたのは、そんな希少な「竹ノ谷蔓牛(たけのたにつるうし)」のビーフジャーキーです。
竹の谷蔓牛特有の赤身の旨味を生かすために「ビーフジャーキー」は、余計な味付けをせずシンプルに、味つけはシャンパンと最低限の塩のみ。
加工業者の「東京ウインナー」さんの協力で製品化が実現しました。「シンプル」なのは余計なことをして赤身肉の味わいを損ねないように、という思いからです。

お届けしたビーフジャーキーは一般販売時のお値段は3,000円ほど。とにかく牛肉だけではなく、大量に使用するシャンパン代も高いです(今回は少しだけお肉を増量してもらいました)。
安定剤や凝固剤を使っていませんので、まれに室温によっては牛脂やエキスや固まっていることがありますが、20度前後に戻してお召し上がりください。
一欠片(かけら)ごとにおいしいビーフジャーキー。包丁でお好みの幅にカットして召し上がるのもおすすめです。希少な種類の牛を残すことができた物語に思いを馳せながら、少しずつ、じっくり噛んで幻の牛(原種)を味わっていただけましたらうれしいです。

ちなみに、竹の谷蔓牛を肉牛にして味を広めるにしてもあまりにも頭数が少なすき゛ましたので、竹ノ谷蔓牛だけではなく、「竹の谷蔓牛?黒毛和牛」の新ブランド牛「いぶさな牛」も育てていくことになりました。
そんないぶさな牛の年間出荷数は現在10頭程度。少ないため、牛一頭こ゛との性格の違いや、食肉にしたときの味の違いもはっきりわかるそうです。こうして、よりおいしい交配パターンを研究されています。

通常だと28か月~30か月で出荷するところを、「いぶさな牛」は36か月~40か月の長期肥育してから肉として出荷されます。
エサ代だけでも10カ月分高くなりますし、長期肥育すれは゛するほど牛の健康管理も難しくなります。回転率も悪く牛舎も空きません。
しかし、一般市場に出荷すると肉は全て買い上げてくれはするものの、どんなに希少な血統であれ、長期肥育で手間暇かけた牛であれ、説明されることなく「黒毛和牛」と表示されてスーパーなどで売られます。

赤身重視のためサシが少なく枝肉評価は最低ランクですので(「枝肉(えだにく)」とは骨がついた状態の肉のこと)、一般市場では経費に見合った値段がつけてもらえません。
そのため、「どんな状況でも自分たちの手で売っていくより他ない」とおっしゃっていますし、自分たちの牛が一番だと言いたいわけではなく「味わってもらって議論を呼ぶ牛であれは゛いい」という思いで取り組んでいらっしゃいます。

私(坂内)は、じつはフォーチュンボックスに過去に採用した別の商品の生産者さんに会いに宮崎県に行ったときに「面白い畜産農家さんがいるよ」と紹介していただき、駒崎さんに出会いました。
フォーチュンボックスの活動では、このようなこ゛縁をいただくことも多く、本当に感謝しています。

「フォーチュンボックス号外版 在庫調整SP2023」商品説明文

PAGETOP
Copyright © Fortune Factory. All Rights Reserved.