京ハバネロ 篠ソース(京都ハバネロの里・篠ファーム)
Q:鳥が激辛の唐辛子をバクバク食べられるのはなぜでしょう?
「篠ソース」
いわゆる「タバスコ」のようなチリソースです。でも……
せっかくですので、ここで「辛いもの」の基礎知識を知ってください。
辛いものをおいしい、という人がいますが、そもそも「辛いもの」は基本的には人間の身体にとって「危険なもの」です。それを察知するために辛さを感じるようになっています。
そのため、辛さは味覚や嗅覚には分類されず、「触覚」の中の「温度、痛覚」に分類されています。
さらに、トウガラシの辛さとワサビの辛さは違います。
人間には温度や痛さを感じる遺伝子(イオンチャネル)が何種類もあります。その一種「TRP V1(トリップ ヴイ ワン)」という遺伝子は、約43度以上になったときに反応して「熱さと痛さ」を感じる遺伝子です。
トウガラシの辛さの原因物質である「カプサイシン」は、このTRPV1を刺激することがわかっています。つまり、トウガラシを食べて辛く感じるのは、実際には43度以上になっていなくても「43度以上になった」と勘違いして「痛さ」を感じているのです。そして、汗も噴き出します。
黒コショウやショウガも同じようにTRP V1が活性化するので同じ種類の「辛さ」に分類されます。
ただ、ワサビやマスタード、タマネギ、ニンニク、シナモンなどはワサビ受容体とも言われる「TRP A1」を刺激します。これも熱を感知する遺伝子です。ガラガラヘビなど一部のヘビはTRP A1のおかげで暗闇で獲物を見つけていることがわかりました。それくらい刺激に敏感な器官を刺激するので「辛い=痛い」と感じるわけですね。
ちなみにワサビに含まれる刺激成分は揮発性(蒸発しやすい)の硫黄化合物なので(鼻のTRP A1を刺激して)鼻にツンと来ますが、オリーブオイルの刺激成分は揮発性ではないので、鼻に来ないで「のどが焼けるように」感じます。
このように、辛さの原因の物質によって、どこで感じるかも変わります。
また、「TRP M8」はメントール(ミント、ハッカ)やユーカリプトール(ユーカリ)などに反応して活性化します。このTRP M8は約28度になったときに反応するので、本当に28度以下になっていなくても「あ、28度以下になった(体温36度よりも大幅に冷たい)」と感じて、冷たく感じるのです。
つまり、トウガラシなどは熱さを感じる遺伝子を刺激する「辛さ」だから「熱い」と感じ、メントールなどは冷たさを感じ取る遺伝子を刺激する「辛さ」だから「冷たい」と感じるのです。
逆に「TRP M5」という受容体は温度が高くなったときに甘みの信号を強める働きがあるため、人間は温かい飲み物の方が甘く感じます。
さて、トウガラシの辛さの単位は「スコヴィル」です。スコヴィルさんという人が「トウガラシの辛さを何倍に薄めても感じることができるか」を計測したことから名付けられました。
日本で最も一般的なトウガラシ類である「鷹の爪」は4万~5万スコヴィル、「ハバネロ」は10万~35万スコヴィル、インドでは象よけにも使われる「ブート・ジョロキア」は100万スコヴィルだそうです。ちなみにアントニオ猪木さんが日本に広めたと言われる「タバスコ(ソース)」は4,000スコヴィル程度だそうです。
また、同じトウガラシ類でも辛さを感じるまでの時間が違うことが確認されています。鷹の爪はすぐに感じますが、ハバネロは食べてから20~30秒で感じることが多いそうです。「あとから辛くなってくる」理由です。
ちなみに鳥にはトウガラシの辛さを感じ取る受容体TRP V1がないので、もし人間が無人島でお腹がすいて、鳥がトウガラシをバクバク食べているのを見て真似して食べたら大変なことになると思います。
さて、「篠ソース」は京都産のハバネロを使用していて、「他の唐辛子では味わえない独特の辛味がじんわりと感じる爽やかな喉越し」と表現されています。どんな料理にでも合うことを目指して作られました。
化学調味料を使っていないため、いい意味で味がまとまりすぎていないと思いますし、タバスコソースと比べて酸味が少ない印象です。
「とりあえず何にでもタバスコ」という人も多いかもしれませんが、「とりあえず篠ソース」になるかもしれませんね!
初めてフォーチュンボックスでご紹介してから3年以上が経って、当時の「篠ファーム」という社名から「京都ハバネロの里」に変更されました。
「篠ソース」は海外にも輸出されるようになり、個人がリピート購入されるだけではなく飲食店との取引も増えてきたそうです。
「直接、料理にかけるだけではなく、他の調味料(マヨネーズ、醤油、とんかつソース、ごま油、辣油など)と混ぜて使うと変化があって、楽しんでいただけると思いますし、鍋物の汁や餃子やハンバーグのタネに加えても美味しいと思います。」とのことでした。
ぜひ、いろいろアレンジしてお楽しみください