プリンセスかおり(ダブルノット(田中農場))
Q:お米の香りの正体は何でしょう?
「プリンセスかおり」
お米の楽しみ方は、なんと言ってもその香りにあると断言する料理人もいます。高級米でなくても、炊きたてのご飯の香りには幸せを感じます。
鳥取県の田中農場さんが栽培しているのは、お米の新品種「プリンセスかおり」。
「プリンセスかおり」はコシヒカリの突然変異株「いのちの壱」と、インド系香り米の香りを引き継ぐ「プリンセスサリー」から生まれました。
お米の香りは、その品種の源流となった品種から引き継ぐことが多いそうです。「ポップコーン」に喩(たと)えられることもある香りは「プリンセスサリー」から引き継いでいます。
「プリンセスサリー」の源流には、「バスマティー370」というインドの高級香り米があります。「バスマティ」はヒンディー語で「香りの女王」という意味です。
そもそもお米の香りは「2-アセチル-1-ピロリン」(ケトン類)という芳香化合物によるものです。ちなみに芳香化合物でおそらく一番有名なものは「メントール」(アルコール類)と呼ばれるペパーミントなどの香りでしょう。
さて、普通のお米にも含まれているこの香り成分ですが、「香り米」には数倍から数十倍も多く含まれているため、普通のお米にはない香りが放出されます。また、この香りは米からだけでなく、稲全体から発せられます。
ちなみに「2-アセチル-1-ピロリン」はワインの製造過程でも発生することがあり、やはりそのワインは「香ばしい、ポップコーンのような香り」と評されることが多いそうです。
田中農場さんは代々土づくりにこだわっています。
通常の畑や田んぼで掘られる深さは15cm程度です。田中農場さんはプラウという農機を使って倍の30cm以上掘り起こすそうです。
根を深く張るほど植物は甘く育つ、といい、土地深くに眠る肥沃な土壌を活かすことと、土の呼吸を活性化させることでより自然に近い環境で育てています。
さらに化学肥料は一切使用せず、近隣の畜産農家と協力して完熟たい肥を自社で作るなど、有機物の循環農法を行い、土が本来持つ力を最大限に引き出し、あくまでも自然の一部としての農業をおこなっています。
ところで、世界には大きく分けて3つの種類のお米があります。
「ジャポニカ種」……日本・朝鮮半島・中国東北部・ヨーロッパの一部などで主に栽培されているお米。短く円形に近く、炊くと粘りとつやが出る。生産量は約20%。
「インディカ種」……中国の中南部・タイ・ベトナム・インド・マレーシア・バングラディッシュ・フィリピンやアメリカなどで主に栽培され、生産量は最も多く80%近い。細長く、炊くとパサつきが感じられる。そのためピラフやカレーによく合うのが特徴。
「ジャバニカ種」……アジアの熱帯高地・アメリカ・ブラジル・イタリア・スペインやアフリカなどに多い。幅が広く、大粒なのが特徴。味はあっさりして粘りがある。生産量はわずか。
私たちがよく食べているのはジャポニカ種で、「バスマティー370」はインディカ種です。
一般的にインディカ米は水分が少なく、パサパサしていますが、「プリンセスかおりは」は、私たちになじみ深い「コシヒカリ」もルーツに持つため、香ばしい香りともちもちした食感、旨味のバランスがいいお米です。
チャーハンやパエリア、そしてなんといっても「カレー専門米」と言われるほどカレーとの相性が抜群です(鳥取県はカレールゥの消費量が日本トップクラス!)。
「プリンセス香り」という新しい「香り米」との出会いをきっかけに、これからも香りを意識してお米を楽しんでもらえましたらうれしいです。