有機新茶(本山製茶)
Q. なぜ「21個」という中途半端な個数になったのでしょう?
『有機新茶』
「駿河路や はなたちばなも 茶のにほひ」 芭蕉
句碑としては日本一の大きさと言われる「狐石」は、静岡県の足久保という地域にあります。足久保は鎌倉時代に静岡で初めてお茶が植えられた「静岡茶発祥の地」です。それが有名な牧之原などへと広がっていき、静岡県はお茶の生産量日本一となりました。
ちなみに、近年鹿児島県に1位の座を譲ったとの報道がありましたが、おもな原因には、鹿児島に比べ、茶畑が山間部にあることが多い静岡県では、栽培により大勢の人手を必要とするため、担い手の高齢化や人手不足で生産者が激減していることがあるそうです。
そんな静岡県の本山製茶さんから届いたのがティーバッグの「有機新茶」です。
同じ静岡県の中でも平野部ではなく、足久保地区の霧が立ち込める山間の茶畑で生産するお茶は、香り豊かな優しい味が特徴です。
ですが、栽培は平地と比べものにならないほど手間がかかりますし、日陰が多くなる分、茶葉の病気も増えます。どうしても小規模になりますから、生産効率も低くなります。
そこで付加価値を付けるために「有機認証」の取得に取り組みはじめました。
有機は虫や草との戦いです。農薬や除草剤が使えませんので、すべて手作業で虫や草を取り除きます。作業を終えたと思ったら、最初に作業したところにはもうすでに新たな草や虫が…、ということも日常茶飯事だそうです。
さらに茶葉の状態や気候などを見極めて摘採しますが、そのタイミングを間違えると病害虫が大発生して、最悪茶畑は全滅します。
そこまでしながらも味にこだわって育てられた茶葉を本山製茶さんで煎茶(浅煎り)に加工しました。
機械によって自動化しやすいのが深煎り茶ですが、繊細な浅煎り茶は人の目で茶葉の状態を確認しながら揉み上げる分、手間がかかります。
ですが、急須やティーバッグの中で茶葉が広がったときの香りと味が高まりますので、手間をかけただけの意味があるのです。
ちなみに手間暇かけて畑全体が有機認証を受けられたのは今年からです。そんな思いや期待が込められた「有機緑茶」が初めて製品化されたのが、今回フォーチュンボックスで皆様のお手元に届けたお茶なのです!
さて、こんなにも手間をかけて作られたお茶ですから、少しでも美味しくお召し上がりいただきたいと思ってしまうのは、私のエゴかもしれませんが、ぜひ、いろんな入れ方を楽しんでいただきたいと思います。
緑茶は沸騰したお湯を湯飲みやカップで冷まして、80度前後のお湯で入れるのが甘みやうま味が出やすいとされています。お湯を注いで1~2分くらいしたら湯飲みに注いでお召し上がりください。新茶ならではの豊かな味と香りを実感していただけると思います。
二煎目(2杯目)は渋みを感じやすくなりますので、お好みによりますが、キリッと冷やした冷茶としても美味しいと思います。
また、せっかくですからこんな楽しみ方もいかがですか?
お米2合に、ティーバッグ1~2個分の茶葉(ティーバッグの中から茶葉を取り出す)、顆粒だし(小さじ2杯ほど)、塩少々を入れて炊くと新茶の香りたっぷりの「緑茶の炊き込みご飯」ができます(オススメです!)。
お茶を楽しんだ後の「出がらし」も楽しめます!たとえば、出がらしの水分を切ってから衣を付けてカラッと揚げると天ぷらになりますし、出がらしに少しのポン酢をかけてもちょっと変わったおひたしみたいになりますし、冷や奴やゆでたささみなどを食べるときの薬味のように楽しむこともできます。
※詳しい作り方は「緑茶ごはん レシピ」「緑茶 出がらし 活用法」などで検索してください
ペットボトル入りの緑茶が売れていますが、それらは平地で大量に栽培されたものです。注目されがちな大量生産の影で、小規模生産を続ける人々がいます。
平地では美味しい茶葉が作れない、とか、大量生産が悪い、と言いたいわけではありません。たとえば、フォーチュンボックスをきっかけに、小規模で目立たないところでがんばる人々に少しだけ関心を向けていただけたらと思っています。
現実は厳しく、優れた品質のお茶を作ろうと、小規模生産を続けても手間ばかりかかる割に販売価格を上げると買ってもらえず、ほとんど手元に利益が残らない構造になっていまっているそうです(あくまでも私が生産者さんから聞いた話です)。
「物が高く売れないのは、物の価値が低いか、売る努力が足りないからだ」というむきもあるでしょう。
消費者側にも責任がある、というのは言い過ぎかもしれませんが、「安くてそこそこのものでいい」という人が増えると、必然的に本物の需要が減り、それを維持するだけのお金が流れてこなくなり、事業として継続できず、結果として私たち選択肢は減ります。
原則として、フォーチュンボックスでは仕入れさせていただくときに値引き交渉はなるべくしません。微力ですが生産者さんやメーカーさんを支えていきたい、という考え方から、私は経営者としてそのように判断しています。
ラベルレスとさせていただいたことから「ラベルのコストが浮いた」ということで、ご厚意で1個増量していただき「21個入り」となりました。美味しいお茶をより楽しんで欲しい、という気持ちに感謝したいです。