去る2024年8月1日(金)~8⽉9⽇(⾦)に、とんかつ店「まるかつ」さんの奈良本店・生駒店・大阪駅イチロクグルメ店で、⻑崎県五島市のコラボフェアが開催されました。それに先立つ6月、「なにか良いものがあれば仕入れたいな」と思って五島市を訪問し、市場や漁協、協同組合、お店などを視察してきました。今回はそのレポートをお届けします。
6月25日(火)
この日は移動日です。
8:25に羽田空港を発ち、10:20に長崎空港着。便を乗り換えて12:10に福江空港に着きました。
昼食@産直市場 五島がうまい
まずは昼食。
産直市場にはレストランが併設されています。市場では五島の生鮮食品やお土産物などが販売されていました。
品揃えは豊富で、ここに来れば五島の商品はだいたい揃いそうです。
五島には五島豚、五島美豚、五島牛などさまざまなブランド肉があるので、お肉のコーナーは特に充実しているようです。
有限会社テル鮮魚様 訪問
主にかつおの生節を製造販売されている会社さんで、長崎県産の「羽かつお」を燻製しています。
鹿児島県や高知県などで有名なカツオは「真鰹」ですが、五島列島で馴染みがあるカツオはこの「羽かつお」で、セリで真鰹の倍の値がつく日も少なくないそうです。
上品な脂ともちもちした身質で、地元の方からも人気だそうです。
ごとう農業協同組合様 訪問
畜産事業所の中村さんに、五島牛を育てている牛舎を案内していただきました。一年で約460頭の牛を出荷しているそうです。
中村さんは、牛のことを一質問すると、たちどころに十を答えてくださいます。熱心さから、牛に対する思いが伝わってきました。
喧嘩する牛やいじめられる牛を隔離する話など、興味深く聞きました。
お金はかかるけど、できる限りのことをして命を大事に育てている姿勢を感じました。
五島では、生後8~10カ月まで育てた子牛を出荷する「繁殖農家」が多いので、子牛を肥育して出荷する「肥育農家」をどう増やしていくかが課題だそうです。
今年の子牛の競り価格は昨年より平均2割ほど下がったというニュースもあります。飼料や電気代などが上がる中で、厳しい状況だそうです。
ちなみに、五島の牛について調べてみたら、市内の遺跡(貝塚)から人骨とともに埋葬された牛骨が見つかり、年代を測定したところ、弥生中期(約2200年前)のものとわかったそうです。その頃から牛が飼育されていたということで、日本最古の家畜牛は、実は五島牛らしいのです(福江市史)。
五島椿物産館様 訪問
五島椿物産館は、エメラルドグリーンの海と白い砂浜が美しい香珠子ビーチ(こうじゅしと読みます)にありました。
五島の食材を使った商品を取り揃えており、隣には、五島灘の海水からじっくり時間をかけて作られる天然塩の工房もあります。
塩職人の山田さんが、こちらが自己紹介するより早く、塩の説明を始められました。
塩のことをずっと考えつづけ、情熱を注いでいらっしゃる方です。
どんな質問をしても、ご自身の考えを的確に答えてくださって、とても勉強になりました。
おいしい柚子胡椒も販売されています。後日、まるかつの金子店長にも試食していただいたのですが、おいしいと好評でした。
金沢鮮魚様 訪問
五島の鮮魚の仲卸をしている金澤鮮魚さんを訪ねました。
五島のおいしい魚を島外の人に食べていただくために、超速冷凍を導入して、旬のおいしいものを通年提供しています。
坂内が両手に持っているのは、魚の旨みを凝縮した魚醤油「五島の醤(ひしお)」です(米麹・醤油麹)。
金澤鮮魚さんは、漁師の後継者不足、食害魚の問題、漁獲量の減少、フードロスなどといった社会問題にも取り組んでいらっしゃいます。
ホテル到着
夕食をどこで食べるか迷い、メイン通りを行ったり来たりしました。商店街の皆さんの慰安旅行の日と重なったためか、ご当地のものを楽しめる飲食店で営業されているとこが少なくて、結局、お好み焼き屋「てんじゅう」さんでいただきました。
こちらは福江島に伝わる念仏踊り「チャンココ」にちなんだお菓子です。上品な甘さの粒あんを包むもちもちのの求肥、たっぷりのきな粉がまぶされていて美味!です。
6月26日(水)
一般社団法人五島市物産振興協会様 訪問
五島の食材を仕入れる際には、この物産振興協会を経由すれば、まとめて発送でき、送料を抑えることができます。
しかも五島の食材はほぼ揃っているそうです。
離島ということもあって、島の皆さんから重宝されていらっしゃるようです。
この日はフリーの予定にしてあったので、五島観光歴史資料館を観覧した後はホテルに戻り、仕事をしていました。
夕食で、ようやく五島の魚を食すことができました。
6月27日(木)
魚市見学
6:30から魚市に行き、初日に伺った金沢鮮魚さんのご案内でセリの様子を見学させていただきました。
金澤社長からは、漁師の方を増やしていくにはどうしたらいいのか、旬のある魚をどうしたら美味しい状態でお客様に届けられるのか、さらに漁獲方法の課題など、さまざまなことを教えていただき、とても勉強になりました。
合同会社nanjaro company様 訪問
こちらのお店は、漁港でおにぎりをメインに販売されていらっしゃいます。
コメの品種によって、コンクール向きのものや、冷めたらイマイチのものがあり、粒の大きさもさまざまのようです。
「ひのひかり」と「にこまる」があり、にこまるは長崎で作られたお米です。
福江港から奈留港へ船で渡ります。
奈留→福江→奈留→若松→奈留…というルートで、カーフェリーが一日に6便出ています。福江から奈留までは55分です。
奈留町漁業協同組合様 訪問
こちらは加工した魚を販売している会社さんです。
一夜干しで旨みをぎゅっと凝縮したキビナゴなども提供されています。ちなみに、左手で掲げているのは漁協のポスターです。
餌となる真鰯などが減ったために、他の魚の漁獲量も減っているそうです。
マキアミの船も、かつては15隻出ていましたが、今では2隻まで減ってしまったそうです。
海水温度の上昇からか、沖縄でしか獲れなかったようなカラフルな魚が獲れるようになったというお話も伺いました。
三兄弟工房様 訪問
こちらでは椿や檜を使って、コースターやキーホルダーなどを製造されています。
小ロットでオリジナルのものを製造でき、細かな表現もレーザーで思いのままにカットしてくれます。
奈留島は、島が八つ手の葉のような形をしていて入り江がいくつもあるので、遣唐使船の時代から「風待ち港」として有名だったそうです。
江戸時代末期に移住してきた隠れキリシタンの家族が住み着き、切り拓いた江上集落があります。
緑に囲まれた可愛らしい江上天主堂は、集落の信徒たちが「キビナゴ漁」で建設資金を蓄え、自分たちで根を掘り起こし抜根し、造成したもので、日本を代表する木造教会として重要文化財に指定されているそうです。
奈留港から福江港に戻ってきました。
お昼は、割烹心誠さんのびっくり弁当をいただきました。
13:15~13:55|いきいき五島様 訪問
いきいき五島さんでは、五島の椿の油粕から作った自家製肥料と五島の海水を使って、野菜を育てています。
露地栽培をされており、季節に合わせた旬の野菜を少量多品種でお届けしてるそうです。露地栽培の天敵は天候悪化。台風の季節はかなり大変のようです。
実際に雲行きが怪しくなってきたため、予定を変更して、各会社さんを急いで訪ねました。
合同会社椿乃様 訪問
椿オイルや椿茶など、椿に関連する商品を販売されています(店主さんが持っているのが椿オイル、坂内が持っているのが椿茶です)。
食用の椿オイルは、見た目からは想像できないような、ナッツのような香ばしい味わいでした。
100kgの種子から実を取り出しすと30kgになります。それをオイルにすると10kgくらいになるそうです。
株式会社しまおう様 訪問
すり身を製造されている会社さんです。
多くの人にもっとすり身を食べてもらおうと頑張っていて、食パンにすり身を挟んで揚げたハトシというアイデア食品なども生まれたそうです。
以上です。
帰りは福江空港から長崎空港に向かう予定でしたが、いよいよ悪天候になってきたため、急遽、船で長崎港に渡ることになりました。
長崎港から長崎空港に行き、羽田へ飛びました。
帰りは大変でしたが、大変有意義な視察旅行になりました。
新しい商品、面白い商品をお届けできるようにこれからも頑張ります!