商品を探して、試食して、味を記録したり、ホームページなどでも、お客様に美味しさを伝えたりしていかなければならないにも関わらず、私は「美味しい」「しょっぱい」「もちもちしている」「いい香り」といった、小学生でも言うことのできるような表現でしか味を伝えることができませんでした。

それは、私自身の中に「味」を表現する言葉のバリエーションが乏しいからではないか、と考えました。

そこで、他の人たちはどんな言葉で味や美味しさを表現しているのかを集めることにしたのです。

まず「味覚」についてネットで調べてみると、味覚は、「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「うま味」の5種類の味に分けられることがわかりました。そこに五感をプラスして、自分で出せるだけの味の表現を書き出しました。

私一人で考えるのには限界があるので、図書館に行って料理の本を見て抜き出したり、クックパッドを見て表現方法を抜き出したりしました。2日間で168個の表現方法を見つけ出すことができました。

次にその168個の単語を分類することにしました。「味」「食感」「香り」「温度」「音」「見た目」「その他」に分類してみたところ、「ほくほく」という表現はどこに分類されるのかな?温度?食感?それとも音かな?といった具合に、人によっては捉え方が異なり得る表現もあるのだということがわかりました。

出来上がった表を使い、実際に手元にあったせんべいを表現してみることにしました。

そうしたら、ある程度、そのせんべいの味について、さまざまな表現方法で伝えることができたと思います。

また、人と味覚の表現方法について話していて、味を表現するときには、人間が感じる順番で説明すると伝わりやすいということもわかりました。

そこで「見た目→香り→温度→味・食感→後味・のどごし」という並べ方にしました。食レポのような感じです。

たとえば、「少し焦げたような醤油の香ばしそうな色で、香りはなく、常温で、食べると想像よりやや堅めで、唾液がばーと出るようなおいしさがあり、純分に満足できる味のせんべい」というように。

このリストを使うことで、新商品開発のきっかけになると思います。

今回は「バームクーヘン」というお題で、それらの表現方法をランダムで選び、今までにないであろう商品を考えてみました。

味覚リスト

バームクーヘンに関してランダムに選出した味の単語が「冷めてもおいしい」「つい手が伸びる味」「歯ごたえがある」「香ばしい」「どろっ」というものでした。「どろっ」としているバームクーヘンってどんなのだろう?と考えて、フォンダンショコラのような、中から何かが出てくるバームクーヘンとかどうかな?とか、生地のまま販売されていて自分で年輪の様に棒に巻いて作るキットを販売してみてはどうだろう?とか、そういったアイディアを思い浮かべました。

他には、「あまじょっぱい味のバームクーヘン」というアイディアも出てきました。

本当に販売するかは別として、こういった単語があることで考えるきっかけになり、新商品を考案することがすごく楽しいものになると思いました。この表をもっと使いやすくして無料公開し、商品開発の会議などで活用していただきたいと考えています。私自身もこれを使い自社商品の開発を行っていきたいです。

味覚リスト2

味覚リスト3